カスタマー平均評価: 5
戦前と現代は確実につながっている まず、このDVDで注意して頂きたいのは、再生するといきなり英語で音声が出てきて驚く。 これはNHK側が悪いのか、DVDプレイヤー側が悪いのかはわからないが機械に弱い世代には配慮の足りない点であると思う。 しかし、心配はご無用である。 ちゃんと音声選択をすれば大丈夫である。このDVDは戦前という一見モノクロと思われがちな世界をカラフルな総天然色で映し出す。 これは誰もが戦前のカラーフィルムを見たときに言うことだが「戦前と現代はつながっている。」ということが確信できる。 これは中学校あたりの歴史公民の時間に是非教師が子供に見せるものであろう。 そうすれば「戦前」を過去の時代と思うことはなくなるだろうし、歴史への興味も抱くようになるだろう。
貴重な記録映像なのは認めます。でも… 前作(『カラーで見る第2次大戦 全3巻』)と違って、本編は、本土から派遣され、欧州と太平洋の2正面作戦を戦い抜いたアメリカの立場から記録されています。そのせいでしょうか、前線兵士が家族にあてた手紙や、銃後の風景を丹念に拾っているのが特徴です。
第1巻には戦争前の日本の風景がほんの少しだけ映っています。東照宮らしき場所で、今と変わらぬ学生服を着た男子学生の修学旅行風景。彼らの何人が戦後まで生き延びたのでしょうか。 第4巻では太平洋の凄惨な戦場がカラーで再現されます。ガダルカナル、タラワ、マキン、サイパン、テニアン、グアム、イオージマ、そして沖縄。激戦地の鮮明なカラー映像は衝撃的です。 日本人として見るに忍びないシーンが多いのですが、そのひとつ。破壊され尽くされたテニアンの市街地の映像や、撃たれたり火炎放射器で焼かれたりして戦死したおびただしい日本兵の姿が映される中で、故郷の母にあてたアメリカ兵の手紙が紹介されます。 「かあさん元気ですか。きのう仲間がテニアンの町で日本の蓄音機とレコードを見つけたんだ。夕べはみんなでベートーベンの第5番やシュトラウスのワルツを聴いたよ。世界が平和に暮らせないのがほんとうに残念だね。平和なら旅行して互いの文化を学んだり、音楽や芸術で交流を深めることができるのに。ニュースはそれだけ。愛を込めて」 そのすぐ次に、空前の繁栄を享受するニューヨークの姿が挿入されます。 前作よりも、連合国寄りの(勝利者としての)視点が強調されているため、個人的には少し違和感が残ります。戦争のむなしさを率直に表明していた前作の方がよかった。ですから、まずは前作で大戦の全体像を掴んだ上で、このアメリカ編を見た方がよいと思います。しかし、貴重な映像の積み重ねだということはぜひ強調しておきたいところです。 最後に印象的な映像と言葉を。収容所から救出されて呆然とした表情で涙を浮かべるユダヤ人少年、捕虜となったいたいけなヒトラーユーゲントの少年兵、救出されて水筒を渡されても震えの止まらない沖縄の少女……。従軍看護婦の述懐「私たちは戦争前の人間には戻れない」という一言が胸を突きます。 次は昨年の夏にNHKで放映された「日本編」のDVD化をぜひ切望します。
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